こんにちは!さくらもちです。今回は、名前が似ていて混同しやすい「介護休業」と「介護休暇」の違いを、育児・介護休業法の制度と「雇用均等基本調査」の統計をつなげて整理します。
「どちらも家族の介護のために休める制度なのに、何が違うの?」「93日と5日・10日はどう使い分けるの?」「介護休業者がいた事業所1.9%と、介護休暇取得者がいた事業所3.6%は比較してよいの?」という疑問を、一つずつ確認していきましょう。
結論|介護休業は「まとまった期間」、介護休暇は「必要な場面の短い休み」
結論からいうと、介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割して取得できる休業です。一方、介護休暇は対象家族が1人なら1年度に5日、2人以上なら10日を限度に、1日または時間単位で取得できる休暇です。
| 比較項目 | 介護休業 | 介護休暇 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 仕事と介護を両立する体制を整えるため、まとまった期間休む | 通院への付き添い・手続きなど必要な場面で休む |
| 対象となる家族 | 要介護状態の対象家族 | 同じく要介護状態の対象家族 |
| 日数の上限 | 対象家族1人につき通算93日 | 1年度に5日(2人以上なら10日) |
| 分割・取得単位 | 3回まで分割可能 | 1日・時間単位で取得可能 |
| 申出 | 原則、開始予定日の2週間前まで | 口頭での申出も可能(社内手続きは要確認) |
| 有給・無給 | 法令上の一律の賃金支払義務はない。要件を満たせば雇用保険の介護休業給付の対象 | 法令上、有給・無給は会社の規定による。年次有給休暇とは別 |
さくらもち【もちの一言】
覚え方は「介護休業=93日・3回」「介護休暇=年5日/10日・時間単位」。同じ対象家族のためでも、利用目的・上限の考え方が異なります。
介護休業と介護休暇の対象家族・要介護状態は?
「対象家族」はどちらも共通
対象家族には、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母が含まれます。「同居しているか」「介護保険の要介護認定を受けているか」だけで決める制度ではありません。
制度上の「要介護状態」は、負傷、疾病、身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。認定の有無を含めた個別の判断は、厚生労働省の判断基準・指針で確認します。
雇用形態が同じでも、取得要件は完全には同じではない
介護休業・介護休暇は、原則として日々雇用される労働者を除く労働者が対象です。ただし、労使協定で対象外にできる人の範囲は異なります。パート・有期雇用労働者だからというだけで、一律に制度の対象外になるわけではありません。
| 制度 | 労使協定がある場合に対象外とできる労働者の例 |
|---|---|
| 介護休業 | 継続雇用1年未満/申出から93日以内に雇用関係が終了することが明らか/週の所定労働日数2日以下 |
| 介護休暇 | 週の所定労働日数2日以下。「継続雇用6か月未満」を対象外とする仕組みは2025年4月1日に廃止 |
有期雇用労働者の介護休業については、申出時点で、休業開始予定日から93日経過した日から6か月を経過する日までの間に労働契約が満了し、更新されないことが明らかでないことなどの法定要件もあります。
介護休業の仕組み|通算93日・3回まで
93日を1回で使い切る必要はない
介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで取得でき、3回まで分割できます。対象家族が別であれば、それぞれについて要件を確認します。93日は、取得のたびに新しく付与される日数ではありません。
【例:93日の数え方】
ある対象家族のために、30日+31日+32日=93日と3回に分けて介護休業を取得する例です。3回の合計で93日になるため、同じ対象家族についてさらに法定の介護休業を追加できるわけではありません。
※数字は制度を説明するための架空例です。個別の期間指定や開始日・終了日の計算は申出書に沿って確認します。
申出は原則として休業開始予定日の2週間前まで
介護休業を希望する場合は、原則として開始予定日の2週間前までに事業主へ申し出ます。実務では、利用予定期間、介護の必要性、就業規則に定める連絡先などを確認しましょう。
介護休業は、介護を一人で抱え込む期間に限らない
厚生労働省は、介護休業を介護サービスの手配、地域包括支援センター・ケアマネジャーへの相談、家族との役割分担の調整など、仕事と介護を両立する体制づくりに活用することを案内しています。
介護休業給付金と休業中の賃金は別の話
介護休業中の賃金を会社が必ず支払うという一般的な法定義務はありません。一方、雇用保険の被保険者で一定の要件を満たす場合は介護休業給付金の対象になります。給付額は原則として休業開始時賃金日額と支給日数に67%を掛ける仕組みですが、上限や賃金支払による調整があります。
介護休暇の仕組み|年5日・10日と時間単位取得
対象家族が1人なら5日、2人以上なら10日
介護休暇は、対象家族が1人の場合に1年度5日、2人以上の場合に1年度10日が法定の限度です。介護休業の「対象家族1人につき93日」と異なり、介護休暇は年度ごとの日数として読みます。
会社が年度を特に定めていない場合は、原則として4月1日から翌年3月31日までです。年度内に介護休暇を5日取得したからといって、介護休業93日の枠が減るものではありません。
介護休暇は時間単位でも取得できる
介護休暇は、通院の付き添い、介護サービスを利用するための手続き、ケアマネジャーとの打ち合わせなどに利用できます。法令上は、原則として1日または時間単位で取得できます。時間単位の取得は2021年1月1日から可能になりました。
時間単位については、原則として始業時刻から連続する時間、または終業時刻まで連続する時間で取得する仕組みです。勤務の途中でいったん休んで戻る「中抜け」は法定の必須対応ではありませんが、会社が認めることは可能です。時間単位取得が困難と認められる業務について、労使協定による対象外の定めがある場合の扱いにも注意します。
【例:通院付き添いのための休暇】
午前中に病院への付き添いがあるため、始業時刻から連続する3時間について介護休暇を取得する、という使い方が考えられます。例示であり、すべての職場で無条件に同じ取り方ができるわけではありません。
年次有給休暇とは別。賃金の有無は規定で確認
介護休暇は労働基準法の年次有給休暇とは別の制度です。名称に「休暇」とありますが、介護休暇の時間が必ず有給になるわけではありません。有給・無給の取扱いは会社の規定を確認します。
2025年4月の法改正|介護休暇の対象者要件と事業主の義務
「勤続6か月未満」の労使協定除外を廃止
2025年4月1日以降、介護休暇については、労使協定を結んでも「継続雇用期間が6か月未満」という理由だけで対象外とすることはできなくなりました。週の所定労働日数2日以下の労働者に関する労使協定上の除外とは分けて理解します。
介護に直面した労働者への個別周知・意向確認など
同日から、事業主には、介護休業・介護両立支援制度等の利用を円滑にする雇用環境整備、介護に直面した旨を申し出た労働者への個別周知・意向確認、40歳等の早い段階での情報提供などの義務が設けられています。また、介護のためのテレワーク等の導入は努力義務です。
【法令と統計の時点を分ける】
後半で紹介する令和6年度雇用均等基本調査は、原則として2024年10月1日現在の事業所の状況を示すものです。制度要件については、その後に施行された2025年4月1日の改正を反映して説明しています。古い調査時点の数字から、改正後の法令対応状況を推測しないでください。
介護の短時間勤務制度は、介護休業・介護休暇と別の制度
介護のための短時間勤務等の措置は、介護休業93日や介護休暇年5日・10日とは別枠の両立支援制度です。事業主は、短時間勤務、フレックスタイム、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、介護サービス費用の助成等の中から1つ以上を設けます。
対象家族1人につき、利用開始日から連続する3年以上の期間に2回以上利用できるようにすることが原則です。ただし、介護サービス費用の助成措置については、1回の利用とすることも認められています。また、所定外労働・時間外労働・深夜業の制限も別の制度です。
年度記事「令和4年 雇用均等基本調査|介護支援制度の導入状況と実態」では、短時間勤務や時差出勤等の制度の導入状況、介護休業取得者がいた場合の雇用管理を扱っています。法令上の介護休業・介護休暇と、統計上の介護支援制度を混同しないようにしましょう。
令和6年度雇用均等基本調査|規定あり割合と取得状況を読み分ける
事業所調査であっても、割合の分母が必ず事業所とは限らない
ここからは厚生労働省の令和6年度雇用均等基本調査を例に読み方を整理します。対象は常用労働者5人以上を雇用する民営事業所で、調査対象6,300事業所、有効回答3,383事業所、有効回答率53.7%でした。調査の基準時点は2024年10月1日です。
ただし、取得者がいたかどうかを集計する期間は、主に2023年4月1日~2024年3月31日です。調査基準日と実際の取得を調べる期間は必ずしも同じではありません。
制度の規定がある事業所割合|介護休業72.3%・介護休暇68.1%
| 制度 | 規定あり事業所割合(5人以上) | 30人以上(再掲) |
|---|---|---|
| 介護休業制度 | 72.3% | 90.5% |
| 介護休暇制度 | 68.1% | 85.3% |
72.3%と68.1%は、介護休業や介護休暇を取得した労働者の割合ではありません。また、調査で制度の規定が「ない」と回答された事業所があっても、その回答だけで個別事業所の法令違反の有無や原因を断定できません。
取得者がいた事業所割合|介護休業1.9%・介護休暇3.6%
| 制度 | 取得者がいた事業所割合 | 割合が表すもの |
|---|---|---|
| 介護休業 | 1.9% | 調査対象期間に介護休業取得者がいた事業所の割合 |
| 介護休暇 | 3.6% | 調査対象期間に介護休暇取得者がいた事業所の割合 |
これらは事業所単位で、1人でも取得者がいたかどうかを見ています。取得者が1人の事業所も10人の事業所も、事業所割合では「取得者がいた事業所」として数える点がポイントです。
介護休業者の労働者割合0.10%は、別の分母
同じ調査では、常用労働者(介護に直面していない人を含む)に占める介護休業者の割合が0.10%と示されています(丸めて0.1%)。これは、介護休業者がいた事業所割合1.9%とは異なり、人を分母にした割合です。
| 指標 | 分母の単位 | 答えている問い |
|---|---|---|
| 介護休業制度の規定あり72.3% | 事業所 | 介護休業制度の規定があるか |
| 介護休暇制度の規定あり68.1% | 事業所 | 介護休暇制度の規定があるか |
| 介護休業取得者がいた1.9% | 事業所 | 介護休業を取得した人がいたか |
| 介護休暇取得者がいた3.6% | 事業所 | 介護休暇を取得した人がいたか |
| 常用労働者中の介護休業者0.10% | 労働者 | 常用労働者全体に占める介護休業者がどれだけいるか |



【もちの一言】
介護の統計で最も避けたいのは、「介護休業者がいた事業所1.9%=介護休業を取った人が1.9%」と読み替えることです。事業所単位と人員単位を区別しましょう。
制度内容の割合にも、条件付きの分母がある
令和6年度調査では、介護休業制度の規定がある事業所のうち、取得回数に制限がある事業所82.2%、その「制限あり」事業所の中では3回(法定どおり)89.1%でした。89.1%の分母は、全事業所ではありません。
介護休暇では、制度規定がある事業所のうち、時間単位で取得できる事業所58.6%という調査結果もあります。こちらも全事業所の割合でも、時間単位で取得した労働者の割合でもありません。
【分母を確認する3つの質問】
① 何を100とした割合ですか(全事業所・制度あり事業所・労働者など)?
② 「取得できる制度がある」のか、「実際に取得した」のか、どちらを測っていますか?
③ 何年・何年度の調査で、制度の施行日と集計対象期間はいつですか?
社労士試験メモ|介護休業・介護休暇のひっかけポイント
- 介護休業は対象家族1人につき通算93日・3回まで。93日を3回とも取得できるわけではない。
- 介護休暇は年度単位で5日/10日。時間単位の取得も原則可能。
- 2025年4月以降、介護休暇について継続雇用6か月未満を労使協定で除外する仕組みは廃止。介護休業の除外要件とは異なる。
- 介護休業・介護休暇と、介護の短時間勤務等の措置は別の制度。
- 介護休暇の有給・無給は会社の規定による。介護休業給付金と介護休暇の賃金を混同しない。
- 「制度あり事業所割合」「取得者がいた事業所割合」「労働者に占める介護休業者割合」は別指標。
実務メモ|相談・申出時に確認したいこと
- 介護の必要がある家族と、介護の状況・今後の見通し
- 介護休業を使って体制を整えるか、介護休暇でスポット対応するか
- 介護休業の利用済み日数と利用回数、介護休暇の残り日数
- 就業規則・労使協定の対象者要件と、有期雇用の契約更新見込み
- 申出の時期と方法、時間単位取得の運用、賃金・給付の扱い
- 介護の短時間勤務や時差出勤、残業・深夜業の制限、テレワークの利用可能性
法律が認める権利と、企業が独自に上乗せする制度は分けて確認しましょう。また、年度統計で規定のない事業所が一定数あるからといって、その原因を統計だけで推測するのは避けます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 介護休業の93日は毎年もらえるのですか?
A. いいえ。対象家族1人につき通算93日です。毎年93日という仕組みではありません。
Q2. 介護休暇の5日・10日は誰を基準に数えますか?
A. 要介護状態の対象家族が1人なら年度に5日、2人以上なら10日です。1人につき毎年5日を単純に足し合わせる制度ではありません。
Q3. 介護休暇を時間単位で取得できますか?
A. 原則として可能です。基本は始業から連続、または終業まで連続する時間単位取得です。業務による例外や企業が独自に認める中抜けの扱いは確認してください。
Q4. 入社6か月未満なら介護休暇を取れませんか?
A. 一律に取れないわけではありません。2025年4月から、その理由による労使協定での対象外扱いは廃止されました。ただし週の所定労働日数など、別の要件は確認が必要です。
Q5. 介護休業と介護休暇は同じ年に利用できますか?
A. それぞれ別の法定制度なので、要件を満たせば両方を利用することができます。介護休暇を取得したことで、介護休業の93日が当然に減るわけではありません。
Q6. 介護休暇は必ず有給ですか?
A. 法律は一律に有給を義務づけていません。会社の規定によって有給・無給が異なり、年次有給休暇とは別に取得できます。
Q7. 「介護休業者がいた事業所1.9%」は取得率ですか?
A. 労働者全体の取得率ではありません。介護休業者がいた事業所の割合です。労働者を分母とする別の統計「介護休業者割合0.10%」と混同しないでください。
Q8. 介護休暇制度の規定がある事業所68.1%は、残りが違法という意味ですか?
A. いいえ。統計上の規定状況だけでは、個別事業所の法令違反やその理由は断定できません。法的な義務の適用関係は、別途法令と実態を確認して判断します。
まとめ|「期間」「取得単位」「割合の分母」を分けて理解する
介護休業は対象家族1人につき通算93日、3回まで。介護休暇は対象家族1人で年度5日、2人以上で年度10日、原則として時間単位でも取得できます。両者に加えて、介護の短時間勤務等の措置も独立した支援制度です。
統計を読む際は、制度の規定がある事業所、取得者がいた事業所、労働者の中の介護休業者を区別しましょう。令和6年度の過年度統計と、2025年4月以降の法令を同じ時点の情報として混ぜないことも大切です。
仕事と介護の両立に役立つ制度を、法律の仕組みと数字の意味の両方から確認していきましょう!さくらもちでした🌸
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出典・一次資料
- 厚生労働省|介護休業制度特設サイト:介護休業
- 厚生労働省|介護休業制度特設サイト:介護休暇
- 厚生労働省|介護休業制度特設サイト:短時間勤務等の措置
- 厚生労働省|介護休業制度特設サイト:2025年4月施行の改正ポイント
- e-Gov法令検索|育児・介護休業法(平成3年法律第76号)
- 厚生労働省|令和6年度雇用均等基本調査 結果概要(PDF:事業所調査28~34頁等)
- e-Stat|令和6年度雇用均等基本調査 事業所調査 統計表一覧(第20・24・25・29・31・32表等)
- 厚生労働省|介護休業給付Q&A
※制度の記載は2026年10月27日時点で確認した法令・公的解説に基づき、統計数値は2024年10月1日を基本の調査時点とする令和6年度調査を例示しています。調査の公表日は2025年7月30日です。
