こんにちは!さくらもちです。「名目賃金が上がったのに実質賃金は下がった」というニュースは矛盾なのでしょうか。 この記事では毎月勤労統計調査の公式定義を中心に整理します。2025年平均・全国調査・確報の数字は説明用の例であり、年度が変わっても通用する読み方を主題にします。
結論|名目賃金と実質賃金は「物価を考慮するか」が違う
名目賃金は貨幣で表示された賃金の額や指数の変化を示すのに対し、実質賃金指数は、名目賃金指数を消費者物価指数(CPI)で実質化し、賃金の購買力の変化を見るための指標です。名目賃金の「円」と実質賃金の「指数」を同じ値として比べてはいけません。
名目賃金と実質賃金の基本的な違い
| 用語 | 何を測るか | よく使う単位 | 2025年平均の例 |
|---|---|---|---|
| 名目・現金給与総額 | 物価調整前の一人平均月間給与額 | 円/人・月 | 355,941円(前年比2.3%増) |
| 名目賃金指数 | 名目賃金の水準の変化 | 指数(2020年平均=100) | 現金給与総額指数111.7 |
| 実質賃金指数 | CPIで実質化した賃金の水準 | 指数(2020年平均=100) | 98.0または99.8(CPI系列別) |

名目賃金を構成する現金給与総額の内訳については、現金給与総額・所定内給与・特別給与の違いで整理しています。
実質賃金には2つのCPI系列がある
2025年分確報の実質賃金指数は、①「持家の帰属家賃を除く総合」で実質化した系列と、②「総合」で実質化した参考系列が示されています。「実質賃金が前年比何%か」を書くときは、CPIの種類を必ず明記します。
| 2025年分・現金給与総額を実質化した系列 | 実質賃金指数 | 公式前年比 | 参考:CPI前年比 |
|---|---|---|---|
| CPI:持家の帰属家賃を除く総合 | 98.0 | ▲1.3% | +3.7% |
| CPI:総合(国際比較等の参考) | 99.8 | ▲0.8% | +3.2% |

計算式と前年比の読み方
基本的な仕組みは実質賃金指数=名目賃金指数÷対応するCPI指数×100(双方の基準年を100とする場合)です。これは指数の定義を説明する式であり、公表された年間前年比を「名目の前年比-物価の前年比」で厳密に求めることを意味しません。この式は各時点の指数を実質化する基本的な関係を示します。年平均指数は月ごとの指数を単純平均して算出するため、公表された年平均の名目賃金指数とCPIの年平均値を単純に割っても、公表された年平均実質賃金指数を正確に再現できるとは限りません。

典型的な誤読|名目増・実質減は同時に起こる
- 名目の現金給与総額が増えても、物価がそれ以上に上昇すると実質賃金指数は低下し得る
- 実質賃金が下がったことは、全労働者の額面給与が下がったことを意味しない
- CPI「総合」の値と「持家の帰属家賃を除く総合」の値を一つの系列に混ぜない
- 「2025年分」と「2025年度分」の同じ2025年という表記だけで比較しない
もちの一言
さくらもち数字だけを覚えるのではなく、何を数え、どの系列・分母・単位で比較しているのかを確かめると、似た統計でも区別しやすくなりますね。
社労士試験での見方
- 名目賃金=物価調整前、実質賃金=物価指数を考慮した賃金指数
- 現金給与総額は一人平均月額。実質賃金指数は円ではない
- CPI2系列・2020年平均=100をセットで確認
読み解きメモ|比較するときの注意
毎月勤労統計調査の年平均実数は月ごとの推計常用労働者数による加重平均、指数の年平均は各月指数の単純平均です。公表された前年比は指数等による算出であり、表示された実数の単純な除算と一致しない場合があります。2024年の前年比にはベンチマーク更新の影響を取り除くための参考値の扱いがあることにも注意します。
FAQ
Q1. 名目賃金が上がったら、実質賃金も必ず上がりますか?
A. いいえ。物価上昇の程度によって実質賃金は下がる場合があります。
Q2. 2025年の実質賃金の前年比は1つだけですか?
A. いいえ。2025年分確報は異なる2つのCPI系列で実質化した指数を公表しています。
Q3. 355,941円から実質賃金の円額を直接出せますか?
A. 実質賃金指数は購買力を示す指数であり、公式公表の円額と同じ性質の数字ではありません。
