こんにちは!さくらもちです。労働力調査で「就業者6,828万人」「雇用者6,185万人」「正規の職員・従業員3,708万人」という数字を見たとき、これらは同じ集団を数えているのでしょうか。実は、働いている人の範囲を段階的に絞っているため、意味が違います。
今回は、就業者→雇用者→役員を除く雇用者→正規・非正規という分類のつながりを整理します。2025年(令和7年)平均の数字は読み方を説明するための例であり、2025年度平均ではありません。年度が変わっても役立つ、定義と分母の考え方が中心です。
結論|就業者・雇用者・正規の職員・従業員は何が違う?
結論からいうと、「就業者」は最も広く、会社などに雇われている「雇用者」はその一部です。雇用者には役員が含まれ、正規・非正規の雇用形態は、原則として役員を除く雇用者を対象に分類します。
| 用語 | 数えている人・区分 | 2025年平均(基本集計) | 割合を読むときの基準 |
|---|---|---|---|
| 就業者 | 従業者+休業者。自営業主・家族従業者・雇用者などを含む | 6,828万人 | 就業率では15歳以上人口が分母(詳しくは固定記事「労働力率・就業率・完全失業率の違いとは?計算式・分母・対象年齢の読み方」) |
| 雇用者 | 雇われて賃金を得る人と会社・団体の役員 | 6,185万人 | 就業者に占める雇用者割合は90.6% |
| 役員を除く雇用者 | 雇用者から役員を除いた集計上の区分 | 5,837万人 | 正規・非正規の雇用形態を分類する母集団 |
| 正規の職員・従業員 | 勤め先での呼称が「正規の職員・従業員」 | 3,708万人 | 正規・非正規の合計に占める構成比63.5% |
| 非正規の職員・従業員 | パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託、その他の6区分 | 2,128万人 | 正規・非正規の合計に占める構成比36.5% |
ここで重要なのは、「役員を除く雇用者5,837万人」は雇用形態を分類する対象である一方、公式表Ⅰ-6-2の注記では、63.5%と36.5%の割合の分母を「正規の職員・従業員」と「非正規の職員・従業員」の合計としていることです。両者を厳密に区別して読みます。
就業者とは?|従業者と休業者を含む
総務省統計局の公式定義では、就業者=従業者+休業者です。労働力調査は、世帯の15歳以上の人について、原則として月末に終わる調査週間の就業状態を調べています。
- 従業者:調査週間中に、賃金や給料、内職収入など収入を伴う仕事を1時間以上した人。無給の家族従業者も、実際に仕事をした場合は従業者に含まれます。
- 休業者:仕事を持ちながら調査週間中に少しも仕事をせず、公式定義の条件を満たす人。雇用者では賃金等の支給・受給予定など、自営業主では事業を持ったまま休み始めてから30日未満などの条件があります。
- 家族従業者で調査週間中に仕事をしなかった人:公式定義では休業者に含まれず、完全失業者か非労働力人口などの側で判断します。
就業者という言葉は「会社員」だけの意味ではありません。自営業主や無給で家業に従事した家族従業者も、条件を満たせば就業者です。また、休業者を含むため、調査週間に実際に働いた人だけを数えた数字でもありません。

図解は異なる2つの分類軸を示します。「従業者・休業者」と「自営業主・家族従業者・雇用者」を一列に足すのではありません。
雇用者とは?|就業者の中で会社・団体の役員も含む
雇用者とは、会社・団体・官公庁、自営業主、個人家庭などに雇われて給料・賃金を得る人と、会社・団体の役員を指します。役員も雇用者数に含まれるため、日常会話の「従業員」という言葉だけから対象を判断しないようにします。
2025年平均・基本集計の就業者6,828万人に対し、雇用者は6,185万人(就業者の90.6%)でした。同じ人数ではありません。さらに、自営業主・家族従業者の合計は614万人と公表されています。
6,185万人+614万人=6,799万人で、就業者6,828万人と一致しませんので、差を特定の区分の確定人数として割り当てることはしないよう注意しましょう。
役員を除く雇用者とは?|正規・非正規の分類へ進む前に確認
「雇用者」から会社・団体の役員を除いた区分が役員を除く雇用者です。2025年平均では、雇用者全体6,185万人に対し、役員を除く雇用者は5,837万人でした。役員が含まれる数字と含まれない数字を区別することが大切です。
労働力調査で「正規の職員・従業員」「非正規の職員・従業員」を調べるときは、役員を除く雇用者について勤め先での呼称を確認します。役員を「正規」「非正規」のどちらかに自動的に入れるわけではありません。
正規・非正規の区分は「勤め先での呼称」で決まる
労働力調査の雇用形態は、勤め先での呼称によって7区分で集計します。正規の職員・従業員以外の6区分をまとめたものが非正規の職員・従業員です。
| 大区分 | 勤め先での呼称に基づく区分 | 読み方 |
|---|---|---|
| 正規 | 正規の職員・従業員 | 勤め先で「正規の職員・従業員」と呼ばれているかを確認 |
| 非正規 | パート/アルバイト/労働者派遣事業所の派遣社員/契約社員/嘱託/その他 | これら6区分をまとめて非正規の職員・従業員と表章 |
2025年平均は正規3,708万人、非正規2,128万人。公表構成比は63.5%と36.5%です。表Ⅰ-6-2の注記どおり、これらの割合は正規と非正規の区分の合計を基準としており、就業者6,828万人全体を100%とした割合ではありません。

なお、3,708万人+2,128万人=5,836万人で、役員を除く雇用者の公表人数5,837万人と1万人の表示差があります。公表人数が万人単位に丸められているため、内訳を足した値が総数と一致しないことがあります。1万人を新たな雇用区分として補正しません。
正規・非正規と無期・有期は別の分類|契約期間だけでは決まらない
ここは特に誤読しやすい点です。正規・非正規は「勤め先での呼称」、一方で無期・有期は「雇用契約期間に定めがあるかどうか」による分類です。同じ役員を除く雇用者について、別の質問項目で整理したものです。
| 比較する区分 | 分類の基準 | 誤読しないための注意 |
|---|---|---|
| 正規/非正規 | 勤め先での呼称 | 無期契約なら必ず正規、とは判断できない |
| 無期の契約/有期の契約 | 調査時点で結んでいる契約に期間の定めがあるか | 有期には1年以下の期間を定めた契約も含む |
| 雇用契約期間が不詳の区分 | 契約期間や期間の定めの有無がわからない場合 | 無期・有期の2区分を足して必ず全員になるとは限らない |
参考として、2025年平均・基本集計の役員を除く雇用者では、無期の契約3,866万人、有期の契約1,445万人でした。これらを「正規3,708万人」「非正規2,128万人」と一対一で対応づけてはいけません。契約期間の不詳区分もあるため、無期・有期の合計は5,837万人にはなりません。

2025年平均の数字を読むとき、何を100%とする?
統計の「割合」は見た目が似ていても、分母が変われば答えている質問が違います。2025年平均の例を並べて確認しましょう。
| 数値 | 「何のうちの何%?」 | 注意 |
|---|---|---|
| 雇用者割合90.6% | 就業者のうち雇用者が占める割合 | 役員を含む雇用者が分子 |
| 正規63.5% | 正規・非正規の両区分の合計のうち正規の割合 | 役員を除く雇用者を対象とした雇用形態別の構成比 |
| 非正規36.5% | 正規・非正規の両区分の合計のうち非正規の割合 | 就業者全体の非正規割合ではない |
就業率など、15歳以上人口を分母にする3つの率の計算式については固定記事「労働力率・就業率・完全失業率の違いとは?計算式・分母・対象年齢の読み方」で説明しています。
誤読しやすい6つのポイント
- ① 就業者=雇用者ではない:就業者には自営業主や家族従業者なども含まれます。
- ② 雇用者=役員を除く雇用者ではない:役員は雇用者に含まれます。
- ③ 役員を除く雇用者=非正規ではない:役員を除く雇用者には正規も非正規も含まれます。
- ④ 正規63.5%の分母を就業者全体としない:正規・非正規の構成比の対象と表注を確認します。
- ⑤ 正規/非正規と無期/有期を一対一にしない:勤め先での呼称と契約期間は別の分類です。
- ⑥ 他の調査の「正社員」「常用労働者」と同一視しない:調査対象・定義・集計単位が異なることがあります。
もちの一言
さくらもち「正規63.5%」を見たら、いきなり「働いている人の63.5%」と読まないで下さい。まず就業者? 雇用者? 役員を除く?と範囲を絞って、最後に表の割合の注記を確かめると、数字の意味が整理しやすくなります。
社労士試験での見方
労働一般常識などで統計を読む際は、数値だけではなく「何を数えたか」「どこまで含むか」「割合の分母は何か」をセットで覚えると、似た用語を区別しやすくなります。
- 就業者=従業者+休業者。休業者も条件を満たせば就業者。
- 雇用者には会社・団体の役員を含む。
- 正規・非正規の対象は役員を除く雇用者。
- 正規・非正規は勤め先での呼称、無期・有期は契約期間。
読み解きメモ|標本調査・分類不詳・表示値の丸め
労働力調査は全国の世帯を対象とする標本調査で、基本集計は基礎調査票から作成されます。就業状態は15歳以上の世帯員を対象としており、ここでの数字はすべて2025年1~12月の平均です。2025年4月~2026年3月の「2025年度平均」と混同しないようにします。
ほかの雇用・賃金統計にも応用できる?
たとえば毎月勤労統計調査など、雇用や賃金を扱う調査では、対象が事業所であったり、労働者の定義や雇用区分が労働力調査と異なったりすることがあります。異なる統計の数値を比べる前に、調査対象・集計単位・雇用区分・対象期間を確認します。
ほかの調査の実際の数値比較は、それぞれの年度記事や専用の固定記事で扱います。失業の定義(基本集計の完全失業者と詳細集計の失業者)の詳しい違いは、固定記事「完全失業者と失業者の違いとは?労働力調査の基本集計・詳細集計を比較」で整理します。
FAQ|就業者・雇用者・正規と非正規
Q1. 就業者は全員、会社に雇われている人ですか?
A. いいえ。自営業主や家族従業者なども含まれます。就業者は従業者と休業者を合わせたものです。
Q2. 会社の役員は雇用者に含まれますか?
A. はい。労働力調査の雇用者は、賃金を得る被用者に加え、会社・団体の役員も含む区分です。
Q3. 「役員を除く雇用者」は非正規の人だけですか?
A. いいえ。正規の職員・従業員も非正規の職員・従業員も含む、雇用形態を分類する対象です。
Q4. 63.5%は就業者全体に占める正規雇用者の割合ですか?
A. いいえ。公式表Ⅰ-6-2では、役員を除く雇用者を対象に、正規・非正規の両区分の合計に占める構成比として公表されています。
Q5. 無期契約なら必ず正規の職員・従業員ですか?
A. いいえ。正規・非正規は勤め先での呼称、無期・有期は雇用契約期間の定めの有無で分類しています。
Q6. 正規3,708万人+非正規2,128万人が5,837万人にならないのはなぜ?
A. 公表人数は万人単位に丸めて表示されるため、内訳の合計と総数が一致しない場合があります。
Q7. 毎月勤労統計調査の「常用労働者」と同じですか?
A. 同じ定義だと決めつけられません。各調査の対象と用語の解説を別々に確認します。
関連記事|定義・分母をさらに整理する
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出典・参考資料
- 総務省統計局「労働力調査(基本集計)2025年平均結果」(2026年1月30日公表)
- 同・2025年平均結果の概要(PDF)(表Ⅰ-3・Ⅰ-5・Ⅰ-6-1・Ⅰ-6-2・Ⅰ-7)
- 総務省統計局「労働力調査の概要」(調査対象・期間・基本/詳細集計)
- 総務省統計局「労働力調査の用語の解説」(PDF)(p.1・p.3)
- 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2025年平均結果」(基本集計との区別を確認するための参考)
※数値は2025年(令和7年)年平均・基本集計です。
