賃金構造基本統計調査の一般労働者・短時間労働者とは?就業形態と雇用形態の違い

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こんにちは!さくらもちです。賃金構造基本統計調査に出てくる「一般労働者」と「短時間労働者」は、正社員と非正規雇用の人を指すのでしょうか。似た言葉が並んでいますが、実は「就業形態」と「雇用形態」は別の分類軸です。

この記事では、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の公式定義に基づき、一般労働者・短時間労働者と、正社員・正職員/正社員・正職員以外の違いを整理します。毎月勤労統計調査や労働力調査と比べるときの注意点も確認します。

目次

結論|「一般・短時間」と「正社員・正職員」は別の分類

まず結論です。賃金構造基本統計調査では、常用労働者について、就業形態=一般労働者/短時間労働者、雇用形態=正社員・正職員/正社員・正職員以外という、異なる二つの区分を使います。「一般労働者=正社員」「短時間労働者=正社員以外」と一対一に置き換えることはできません。

分類軸区分判定のポイント
就業形態一般労働者/短時間労働者同一事業所の一般の労働者との所定労働時間・週所定労働日数の関係
雇用形態正社員・正職員/正社員・正職員以外事業所で正社員・正職員とする者かどうか
出典:厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」主な用語の定義(p.4)。
さくらもち

【もちの一言】「一般」と聞くと正社員、「短時間」と聞くと非正規を思い浮かべやすいですが、まずは何を基準に分けた統計なのかを確かめると、数字を読み違えにくくなりますね。

まず確認|「常用労働者」とは?

賃金構造基本統計調査でいう常用労働者は、期間を定めずに雇われている労働者、または1か月以上の期間を定めて雇われている労働者です。常用労働者という名称だけで「正社員だけ」「フルタイムだけ」と判断するのは正確ではありません。

この常用労働者について、次に説明する就業形態と雇用形態の二つの分類を確認します。ただし、公式概況に掲載された集計値は、調査対象のすべての常用労働者を無条件に含むわけではありません。集計対象の制限は後の「調査の対象と概況の集計範囲」で説明します。

就業形態とは?|一般労働者と短時間労働者の違い

一般労働者とは?

一般労働者とは、常用労働者のうち、短時間労働者に該当しない通常の所定労働時間・日数の労働者です。ここでいう「一般」は、雇用形態が正社員・正職員であることを意味しません。

短時間労働者とは?

短時間労働者とは、同一事業所の一般の労働者と比べて、①1日の所定労働時間が短いか、②1日の所定労働時間が同じでも、1週の所定労働日数が少ない労働者です。名称に「短時間」があっても、正社員・正職員以外に限るという定義ではありません。

この比較は、労働者本人の実際の残業時間や、毎月の実労働時間が多いか少ないかだけで判断するものではなく、所定労働時間・所定労働日数に着目した区分です。

雇用形態とは?|正社員・正職員とそれ以外の違い

一方、賃金構造基本統計調査の雇用形態は、常用労働者を「正社員・正職員」と「正社員・正職員以外」に分けます。前者は事業所で正社員・正職員とする者、後者はそれに該当しない者を指します。

これは所定労働時間・日数による就業形態とは別の判定です。雇用形態については、契約期間が無期か有期かだけで正社員・正職員と決めるのでもありません。二つの軸を混ぜずに読むことがポイントです。

二つの分類軸を組み合わせると4区分になる

就業形態と雇用形態は交差するため、公式の分類図では、常用労働者について次の4区分を整理できます。

就業形態\雇用形態正社員・正職員正社員・正職員以外
一般労働者一般労働者で、正社員・正職員一般労働者で、正社員・正職員以外
短時間労働者短時間労働者で、正社員・正職員短時間労働者で、正社員・正職員以外
厚生労働省「主な用語の定義」p.4の分類図に基づく概念表。
賃金構造基本統計調査の常用労働者について、一般労働者・短時間労働者という就業形態と、正社員・正職員・正社員・正職員以外という雇用形態を組み合わせた4区分の図解
一般・短時間という就業形態と、正社員・正職員/それ以外という雇用形態は、異なる分類軸です。

ここで示したのは分類の組み合わせです。4区分の人数が同じという意味でも、各区分の賃金水準が同じという意味でもありません。公式統計表を読むときは、どの区分を集計した数値なのか、表の見出しと注記まで確認しましょう。

例えば令和7(2025)年の公式概況第6-1表は、一般労働者についての雇用形態別賃金です。その数値を、短時間労働者を含むすべての常用労働者の雇用形態別平均と読み替えたり、4区分すべての賃金と考えたりしてはいけません。

毎月勤労統計・労働力調査ではどう分類する?

労働や雇用を扱う統計には、よく似た名称の区分があります。ただし調査が違えば、調査対象・集計期間・区分の定義をそれぞれ確かめる必要があります。

統計調査主な区分の例ここで確認する分類基準
賃金構造基本統計調査一般労働者/短時間労働者、正社員・正職員/それ以外就業形態と雇用形態の二軸を使う
毎月勤労統計調査一般労働者/パートタイム労働者一般の労働者との所定労働時間・日数の比較。着眼点は似るが、調査の対象・数値を同じものとして扱わない
労働力調査正規の職員・従業員/非正規の職員・従業員原則、役員を除く雇用者について勤め先での呼称により分類
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」主な用語の定義、同「毎月勤労統計調査で使用されている主な用語の説明」、総務省統計局「労働力調査の用語の解説」。
賃金構造基本統計調査の就業形態・雇用形態、毎月勤労統計調査の一般・パートタイム、労働力調査の正規・非正規について、対象と分類基準を比較した図解
一般・短時間、一般・パート、正規・非正規という区分は、調査ごとの分類基準・対象・集計時点を確かめて読み分けます。

毎月勤労統計調査の一般労働者・パートタイム労働者の判定については、一般労働者とパートタイム労働者の違い|毎月勤労統計の定義で詳しく解説しています。また、労働力調査の就業者・雇用者・正規/非正規については、就業者・雇用者・正規の職員・従業員の違いを参照してください。

賃金の数字を読むときは「月額」と「時間当たり」を分ける

賃金構造基本統計調査の公式概況でいう「賃金」は、調査実施年6月分の所定内給与額の平均です。所定内給与額は、6月分のきまって支給する現金給与額から超過労働給与額を差し引いた、所得税等の控除前の額です。年収や手取り額ではありません。

就業形態公式概況での賃金の見方誤読しやすい点
一般労働者6月分の所定内給与額の平均を月額(千円)で示す年間平均賃金・年収・手取りと混同しない
短時間労働者労働者ごとに所定内給与額を所定内実労働時間数で除した値の平均を1時間当たり(円)で示す表示された平均月額÷表示された平均時間で計算した値と断定しない
出典:厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」主な用語の定義p.4、第1表・第11表。

たとえば一般労働者の月額と短時間労働者の時間額を、そのまま同じ軸の棒グラフにして大小を論じることはできません。賃金がどの集団について、どの時期の、どの給与項目を、何単位で集計したものかを先に確認します。

現金給与総額・所定内給与・特別給与の包含関係は、現金給与総額・所定内給与・特別給与の違い(毎月勤労統計調査の定義)、基本給と諸手当の関係は所定内賃金とは?で詳しく説明しています。調査ごとの定義を同一視せず参考にしてください。

調査の対象と概況の集計範囲は同じではない

令和7(2025)年の賃金構造基本統計調査の対象には、常用労働者5人以上の民営事業所(5~9人の事業所は、企業規模も5~9人の場合に限る)と、10人以上の公営事業所などが含まれます。一方、公式の「概況」は、常用労働者10人以上を雇用する民営事業所について、定められた条件を満たす労働者を集計しています。

概況で集計する労働者には、調査対象期日現在15歳以上であることや、6月分の実労働日数・所定内実労働時間数・給与額などに要件があります(一般労働者と短時間労働者では一部条件が異なります)。そのため、概況の結果を「全国のすべての労働者の賃金」と読み替えることはできません。

また、事業所規模はその事業所の規模、企業規模は労働者が属する企業全体の常用労働者数に関する区分です。両者も同じではありません。企業と事業所の基本的な違いは企業調査と事業所調査の違い、割合の分母の基本は統計の分母とは?で整理しています。

なお、令和7年調査は2025年6月分の賃金等を2025年7月に調査したもので、調査事項に含まれる年間賞与その他特別給与額は、原則2024年1~12月分です。月額賃金と前年の賞与を、同じ「2025年の年収」として扱わないよう注意します。

社労士試験での見方

  • 就業形態は一般労働者/短時間労働者、雇用形態は正社員・正職員/正社員・正職員以外。
  • 短時間労働者の判定は、同一事業所の一般の労働者との所定労働時間・週所定労働日数の比較。
  • 一般=正社員、短時間=非正規という一対一の対応づけはしない。
  • 毎月勤労統計や労働力調査の区分と比較するときは、調査ごとの定義・対象範囲・集計時期を確かめる。
  • 一般労働者の賃金は月額、短時間労働者は1時間当たり。統計上の賃金を年収や手取りと取り違えない。

読み解きメモ|同じ言葉でも「調査名」と「表の対象」を見る

統計表には「一般労働者」「正社員・正職員」など似た名称が出てきます。数字を比較する前に、①調査名、②調査年と対象期間、③労働者の分類軸、④集計対象となる事業所・労働者、⑤賃金の単位の順に確認しましょう。

各分類の定義は比較的長く使える知識ですが、調査票、統計表、集計範囲が改訂される可能性はあります。最新の数値を引用するときは、その年の公式資料と表注を確認することが必要です。分類上の違いから、個々の労働者の待遇や賃金差の原因を断定することはできません。

FAQ|一般労働者・短時間労働者と正社員の違い

Q1. 一般労働者は全員、正社員・正職員ですか?

A. いいえ。一般労働者は就業形態の区分です。一般労働者の中に、正社員・正職員と正社員・正職員以外の両方の区分があります。

Q2. 短時間労働者は全員、非正規雇用ですか?

A. いいえ。短時間労働者は所定労働時間・日数に着目した区分で、賃金構造基本統計調査では正社員・正職員に該当する短時間労働者という組み合わせもあります。

Q3. 毎月勤労統計調査の「パートタイム労働者」と同じですか?

A. 所定労働時間・日数による判定という点は似ています。しかし、別の統計調査であり、調査対象や集計時期、表に示された賃金の単位などを確認せず、人数や平均賃金をそのまま比較することはできません。

Q4. 一般労働者の平均月額を、短時間労働者の時間額とそのまま比較できますか?

A. できません。単位が月額と時間当たりで異なります。さらに短時間労働者の時間額は、労働者ごとの値を求めたうえで平均したものです。

Q5. 正社員・正職員以外は、労働力調査の「非正規」と同じですか?

A. 同じと決めつけられません。賃金構造基本統計調査の雇用形態と、労働力調査の役員を除く雇用者についての勤め先の呼称による区分は、調査の対象・定義をそれぞれ確認する必要があります。

関連記事|具体的な賃金の結果は年度記事へ

令和7(2025)年の一般労働者・短時間労働者の賃金額、男女別の結果、前年との比較については、年度記事「【2025年版】賃金構造基本統計調査の概要と結果解説|一般・短時間労働者の賃金と男女間格差」で扱います。男女間賃金格差の「男性=100」の計算方法やポイント差は、固定記事②で扱います。

出典・参考資料

※本文での賃金や調査範囲に関する説明は、特に断りがない限り、厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」の定義・利用上の注意に基づきます。年度に依存しない区分の読み方を主題にした固定記事ですが、引用する統計の対象条件は、その年の公式資料で確認してください。

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