就労条件総合調査(令和5年)調査事項一覧【労働時間制度】
こんにちは!さくらもちです。
社労士試験の経験を活かし、一般常識に含まれる統計調査を分かりやすく解説します。今回は、令和5年度の就労条件総合調査1についてご紹介します。

就労条件総合調査の概要

この調査は、民間企業における就労条件の現状を明らかにするために行われる一般統計調査です。
- 実施機関:厚生労働省
- 調査対象:常用労働者30人以上を雇用する民営企業の中から、無作為に抽出した約6,400社
- 有効回答率:58.7%
所定労働時間
1日の所定労働時間

- 結果:1企業平均 7時間48分

1日の所定労働時間が法定労働時間(8時間)より短い場合、休日の割合を減らすことが可能です。この設定には労使双方のメリット・デメリットがあります。
週の所定労働時間


- 結果:1企業平均 39時間20分



週の所定労働時間も法定(40時間)を下回っています。ただし、休日の割合が減る可能性がある点は同様です。
産業別所定労働時間


結果:
- 最も短い業種:金融業・保険業
- 最も長い業種:宿泊業・飲食サービス業



産業特性によって結果が異なります。宿泊業や飲食サービス業は年中無休の傾向が強く、金融業や保険業は土日休みの傾向があります。
週休制
週休制の企業割合


結果:
- 何らかの週休2日制を採用:85.4%
- 完全週休2日制を採用:53.3%



「何らかの週休2日制」とは、1か月に1回以上、週2日の休みがある制度。「完全週休2日制」は、毎週必ず2日の休日がある制度を指します。
週休制の労働者割合


結果:
- 何らかの週休2日制:86.2%
- 完全週休2日制:61.2%



何らかの週休2日制、完全週休2日制の文言は法律で定義されていません。
一般的には、何らかの週休2日制とは、週休2日制が1カ月に1回以上、週2日の休みがある制度とされています。
完全週休2日制とは、1週間のうち必ず2日の休日がある制度とされています。
週休制(企業割合と労働者割合の比較)





労働者割合の方が高いのは、大企業が完全週休2日制を採用する割合が多いためです。
年間休日総数


結果:1企業平均 110.7日



これは労働基準法で定められた最低限(105日)をわずかに上回っています。105日は、週40時間労働の基準で算出されます。
年次有給休暇
企業の付与日数


結果:年間平均 17.6日



労働基準法では最大20日間の付与が定められていますが、週労働日数が少ない労働者は比例付与となるため、平均付与日数が20日を下回ります。
労働者の取得日数


結果:年間平均 10.9日(取得率 62.1%)



政府目標の70%に対し、まだ達成できていない状況です。
産業別取得率


結果:
- 最も高い業種:複合サービス業
- 最も低い業種:宿泊業・飲食サービス業



複合サービス業には郵便局や農業協同組合などが含まれます。一方、宿泊・飲食業は長時間営業のため取得率が低い傾向があります。
計画的付与制度


結果:
- 制度がある企業割合 43.9%
- 最も多い付与日数:5~6日



年次有給休暇の取得率が低いため、法律で義務付けられた年5日の計画的付与を行う企業が多いようです。
まとめ
令和5年度の調査結果から、所定労働時間や休暇制度には、業種や企業規模による特徴が顕著に表れています。この内容を知識として整理することで、社労士試験や実務に役立てられるでしょう。
- 「就労条件総合調査」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/dl/gaikyou.pdf)を加工して作成 ↩︎