【令和6年版】就労条件総合調査の概要と結果解説(時間外労働・割増賃金制度)

こんにちは!さくらもちです。
これまでの社労士試験の経験を活かし、統計調査を分かりやすく解説しています。今回は令和6年12月25日に公表された令和6年「就労条件総合調査」1から「賃金制度」に関する調査結果をお届けします。特に「時間外労働の割増賃金率」に焦点を当てています。
調査概要
R6就労条件総合調査の概要

就労条件総合調査は、民間企業における就労条件の現状を明らかにするための厚生労働省が実施する一般統計調査です。
- 調査対象:常用労働者30人以上の民間企業から無作為抽出した約6,400社
- 有効回答率:62.1%
- 調査日:令和6年1月1日現在
調査結果のポイント
1. 時間外労働の割増賃金率

結果
- 時間外労働の割増賃金率を一律に定めている企業割合:83.3%
- そのうち、25%とする企業割合:94.2%
- 26%以上とする企業割合:5.5%
さくらもち法定労働時間を超える時間外労働に対する割増賃金率は、労働基準法により「25%以上」と定められています。
今回の調査では、企業の94.2%がこの法定下限である「25%」を採用している結果となりました。
実務でも試験でも、この「25%以上」という表現の意味を正確に押さえておくことが重要です。
なお、26%以上の割増率を設定している企業は少数派にとどまっています。
もう一度確認!
時間外労働の割増賃金率を25%とする企業は94.2%、一律に定めている企業割合は83.3%です。
2. 月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率①


結果
- 60時間超の時間外労働に係る割増賃金率を定めている企業割合:61.1%
- 割増賃金率が25~49%の企業割合:0.9%
- 割増賃金率が50%以上の企業割合:99.0%



令和5年4月1日からの法改正により、中小企業においても「月60時間を超える時間外労働」に対する割増賃金率が50%以上に引き上げられました。
今回の調査は令和6年1月1日時点のものであり、すでに中小企業もこの改正の適用対象となっています。
その結果、割増賃金率が「50%以上」と回答した企業の割合は99.0%に達しています。
なお、就業規則でこの割増率を明示していない場合でも、労働基準法の規定により、法定の割増率が当然に適用されます。
もう一度確認!
割増賃金率が50%以上の企業割合は99.0%、25~49%の割合は0.9%です。
月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率②(中小企業 vs. 中小企業以外)


結果
- 中小企業と中小企業以外(大企業)で比較すると、中小企業以外(大企業)の割合が高い結果となりました。



令和5年4月1日からの法改正により、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率は、中小企業においても「50%以上」が義務付けられました。
今回の調査は令和6年1月1日時点のものであり、すでに中小企業もこの改正の適用対象となっています。
ただし、企業区分別に見ると、もともと大企業(中小企業以外)では50%以上の割増率を導入している割合が高く、調査結果にもその傾向が反映されています。
もう一度確認!
中小企業以外(大企業)では、50%以上の割増賃金率が多く採用され、中小企業より割合が高いです。
まとめ
調査結果のポイント一覧
- 時間外労働の割増賃金率:一律に定めている企業は83.3%、そのうち94.2%が25%と設定
- 月60時間超の割増賃金率:
・割増率50%以上を採用している企業割合は99.0%
・中小企業よりも中小企業以外の割合が高い
さくらもちの総括
令和6年「就労条件総合調査」は、企業の賃金制度の現状を知るだけでなく、社労士試験の重要な試験対策にも役立ちます。特に時間外労働の割増賃金率や月60時間超の割増賃金は、令和5年4月施行の法改正も絡む重要ポイントです。
試験や実務で役立つ情報を引き続き発信していきますので、ぜひチェックしてください!
- 「就労条件総合調査」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/24/dl/gaikyou.pdf)を加工して作成 ↩︎
