【令和6年版】就労条件総合調査の概要と結果解説(労働時間・休日制度の実態)

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【令和6年版】就労条件総合調査の概要と結果解説(労働時間・休日制度の実態)

こんにちは!さくらもちです。
社労士試験の経験を活かし、一般常識に含まれる統計調査を分かりやすく解説します。今回は、令和6年12月25日に公表された令和6年の就労条件総合調査1についてご紹介します。

就労条件総合調査の概要

この調査は、民間企業における就労条件の現状を明らかにするために行われる一般統計調査です。

  • 実施機関:厚生労働省
  • 調査対象:常用労働者30人以上を雇用する民営企業の中から、無作為に抽出した約6,400社
  • 有効回答率:62.1%

所定労働時間

1日の所定労働時間

  • 結果:1企業平均 7時間47分
さくらもち

令和6年版の調査結果によると、企業の1日あたりの所定労働時間は平均7時間47分と、法定労働時間である8時間を下回っています。
所定労働時間が短く設定されていることは、労働者にとって負担軽減につながる面もありますが、労働基準法上は、所定労働時間が法定より短い場合、年間休日数を調整する余地が生まれるため、休日の割合が減る可能性もあります。
このように、所定労働時間の長短には、労使それぞれの立場からメリット・デメリットが存在します。
試験対策では、「法定労働時間との関係」「休日数との連動」「労使の視点の違い」を整理しておくと安心です。

週の所定労働時間

  • 結果:1企業平均 39時間23分
さくらもち

令和6年版の調査結果によると、企業の週あたりの所定労働時間は平均39時間23分と、法定労働時間である40時間を下回っています。
所定労働時間が短く設定されていることは、労働者にとって身体的・精神的な負担軽減につながる面もありますが、労働基準法上は、所定労働時間が法定より短い場合、年間休日数の設計に一定の柔軟性が生まれるため、休日の割合が減る可能性もあります。
このように、所定労働時間の長短には、労働者側にとっての働きやすさと、企業側にとっての業務効率や制度設計の自由度といった、双方の立場からメリット・デメリットが存在します。
試験対策では、「法定労働時間との関係」「休日数との連動」「労使の視点の違い」を整理しておくと安心です。

産業別所定労働時間

結果

  • 最も短い業種:金融業・保険業
  • 最も長い業種:運輸業・郵便業
さくらもち

産業別に見ると、運輸業や郵便業は業務の連続性が高く、時間的拘束も長くなる傾向があります
こうした業種では、所定労働時間が長めに設定されることが多いようです。
一方、金融業や保険業は、土日を中心とした週末休業が定着しており、所定労働時間が比較的短く、休日制度も整っている傾向があります。
このように、業務内容やサービス提供時間の違いが、労働時間や休日制度の統計結果に反映されている点を押さえておくと、試験対策にも役立ちます。

週休制

週休制の企業割合

結果

  • 何らかの週休2日制を採用:90.9%
  • 完全週休2日制を採用:56.7%

週休制の労働者割合

結果

  • 何らかの週休2日制:93.3%
  • 完全週休2日制:65.2%
さくらもち

「何らかの週休2日制」や「完全週休2日制」といった表現は、労働基準法などの法令上で明確に定義されているものではありません。
統計上の便宜的な分類として、
何らかの週休2日制は「1か月に1回以上、週2日の休日がある制度」
・完全週休2日制は「毎週必ず2日の休日がある制度」
とされています。

さくらもち

調査結果を読み解く際には、これらの定義が法的な拘束力を持つものではなく、企業の就業実態に基づく分類である点を押さえておくと安心です。 試験対策では、文言の意味を正確に理解し、統計上の使われ方と法令との違いを整理しておくことがポイントです。

週休制(企業割合と労働者割合の比較)

さくらもち

令和6年版の就労条件総合調査によると、完全週休2日制を採用している企業の割合は56.7%ですが、制度が適用されている労働者の割合は65.2%と、企業割合を上回っています。
この差が生じる背景には、完全週休2日制を導入している企業の多くが、比較的規模の大きい企業であることが挙げられます。
調査では、企業単位で制度の有無を確認し、労働者単位ではその制度が実際に適用されているかを集計しているため、大企業が制度を導入している場合、その企業に所属する多数の労働者が適用対象としてカウントされます。
試験対策では、「企業割合」と「労働者割合」の違いと、その背景にある企業規模の影響を整理しておくと安心です。

年間休日総数

結果:1企業平均 112.1日

さくらもち

令和6年版の調査結果によると、企業の年間休日数は平均112.1日となっており、労働基準法で示される最低限の水準(105日)をわずかに上回っています。
この「105日」という数字は、法令で明示されているわけではありませんが、週40時間労働を前提とした場合の理論上の下限で、以下のような計算で導かれます:
① 1週間の労働時間:8時間 × 5日 = 40時間
② 年間の週数:40時間 × 52.14週 = 約2085.6時間
③ 年間の労働日数:2085.6時間 ÷ 8時間 = 約260日
④ 年間休日数:365日 − 260日 = 約105日

さくらもち

この計算は、週休2日制を前提としない場合の最低限の休日数を示したものであり、法定労働時間を遵守しつつ、年間の労働日数を調整するための基準となります。
試験対策では、「105日」がどのような前提で算出されているかを理解しておくと、選択肢の読み違いを防げます。

年次有給休暇

企業の付与日数

結果:年間平均 16.9日

さくらもち

労働基準法では、年次有給休暇の付与日数は勤続年数に応じて段階的に増加し、常時勤務する労働者の場合、6年6か月以上の継続勤務で最大20日間が付与されると定められています。
ただし、週の所定労働日数が少ないパートタイム労働者などについては、比例付与の対象となり、付与日数が少なくなります。
このため、企業全体の平均付与日数を算出すると、最大付与日数である20日を下回る結果となります
令和6年版の調査では、平均付与日数は16.9日とされています。
試験対策では、「比例付与の仕組み」と「平均付与日数が20日を下回る理由」を整理しておくと安心です。

労働者の取得日数

結果:年間平均 11.0日(取得率 65.3%

さくらもち

年次有給休暇の付与日数は、労働基準法により勤続年数に応じて段階的に増加し、6年6か月以上継続勤務した労働者には最大20日が付与されると定められています。
ただし、週の所定労働日数が少ないパートタイム労働者などは比例付与の対象となるため、実際の付与日数は少なくなります。
このような制度設計の影響もあり、令和6年版の調査では、労働者全体の平均付与日数は16.9日と、法定上限の20日を下回る結果となっています。

さくらもち

また、政府は「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和3年7月30日)において、令和7年までに年次有給休暇の取得率を70%以上にするという目標を掲げていますが、令和6年時点での取得率は65.3%にとどまっており、目標にはまだ届いていない状況です。
試験対策では、「比例付与の仕組み」「平均付与日数が20日を下回る理由」「政府目標との乖離」を整理しておくと安心です。

産業別取得率

結果

  • 最も高い業種:鉱業、採石業、砂利採取業
  • 最も低い業種:宿泊業・飲食サービス業
さくらもち

年次有給休暇の取得率には、産業ごとの業務特性が大きく影響しています。
令和6年版の調査結果によると、取得率が最も高かったのは「鉱業、採石業、砂利採取業」でした
これらの業種は、天候や地質条件に左右される場面が多く、業務の計画性が比較的高いため、休暇の取得調整がしやすい傾向があると考えられます。
一方、「宿泊業・飲食サービス業」は、営業時間が長く、繁忙期の変動も大きいため、従業員のシフト調整が難しく、有給休暇の取得率が低くなる傾向があります。
試験対策では、産業別の取得率の違いとその背景にある業務特性を整理しておくと安心です。

計画的付与制度

結果

  • 制度がある企業割合 40.1%
  • 最も多い付与日数:5~6日
さくらもち

令和6年版の調査結果によると、労働者が実際に取得した年次有給休暇の日数は平均11.0日となっており、法定で義務付けられている「年5日以上の取得」は多くの企業で達成されている状況です。
2019年(平成31年)の労働基準法改正により、使用者には年次有給休暇のうち5日分を確実に取得させる義務が課されました。
これに対応する手段のひとつが「計画的付与制度」ですが、取得実績がすでに5日を上回っている企業では、制度を導入せずとも法令を満たしていると判断しているケースも多いと考えられます。
実際、計画的付与制度を導入している企業は全体の40.1%にとどまっており、その中でも最も多い付与日数は「5~6日」となっています。 試験対策では、「法改正による義務化」「取得実績との関係」「制度導入の判断基準」を整理しておくと安心です。

まとめ

令和6年の調査結果から、所定労働時間や休暇制度には、業種や企業規模による特徴が顕著に表れています。この内容を知識として整理することで、社労士試験や実務に役立てられるでしょう。

  1. 「就労条件総合調査」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/24/dl/gaikyou.pdf)を加工して作成 ↩︎
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