【令和4年版】就労条件総合調査の概要と結果解説(賃金制度・賞与の実態)

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【令和4年版】就労条件総合調査の概要と結果解説(賃金制度・賞与の実態)

こんにちは、さくらもちです!
社労士試験で頻出の統計調査を、分かりやすく解説します。今回は令和4年10月28日に公表された令和4年の「就労条件総合調査」賃金制度1に関する調査結果を見ていきます。

なぜ令和4年度のデータが重要なのか?

社労士試験では、数年前の統計データが頻繁に出題されます。
例として、令和5年度試験の一般常識では、令和3年雇用均等基本調査が問われました。
そのため、基本給の決定要素、賃金制度の改定状況、賞与制度の調査項目が最新である令和4年の就労条件総合調査も試験対策として重要です。

令和4年「就労条件総合調査」の概要

調査概要

  • 目的:民間企業における就労条件の現状を把握
  • 調査種別:一般統計調査
  • 実施機関:厚生労働省
  • 調査対象:常用労働者30人以上の民間企業(約6,400社を無作為抽出)
  • 有効回答率:58.8%

調査結果とポイント解説

1. 基本給の決定要素

結果
基本給の決定要素において、管理職・非管理職ともに「職務・職種など仕事の内容」が最も多く、次いで「職務遂行能力」が高い割合を占めました。

さくらもち

基本給の体系は、社労士試験対策上「仕事給(職務・職種、職務遂行能力)」と「属人給(年齢・勤続年数など)」に分類されることが一般的です。
令和4年の就労条件総合調査では、管理職・非管理職ともに「職務・職種」や「職務遂行能力」が基本給決定要素として最も多く挙げられており、仕事給が中心となっている傾向が見られます。

もう一度確認!
管理職・非管理職ともに、職務・職種が基本給決定の主要要素です。

2. 業績・成果が基本給に反映される場合

結果
業績・成果を基本給決定要素とする場合、以下のような傾向があります:

  • 管理職:長期の個人業績・成果を重視
  • 非管理職:短期の個人業績・成果を重視
さくらもち

短期の成果とは、すぐに求められる業務や目標に対する達成結果を指します。
一方、長期の成果は、将来的な組織の方向性や経営目標に向けた貢献を意味します。

さくらもち

令和4年の調査結果を見ると、管理職では「長期の個人業績・成果」が重視されており、これは企業の経営戦略への寄与と捉えることができます。 一方、管理職以外では「短期の個人業績・成果」が重視されており、個人の業務目標に対する達成度が評価の中心となっているようです。

もう一度確認!
管理職は長期の個人業績、非管理職は短期の個人業績を重視しています。

3. 賃金制度の改定状況

結果
過去3年間で賃金制度を改定した企業割合は「40.4%」でした。

さくらもち

賃金制度の見直しは、一般的に次のようなタイミングで行われます。
・法改正があったとき
・組織の再編や変更があったとき
・世代交代など、人材構成に大きな変化があったとき

さくらもち

こうした改定のきっかけは頻繁に起こるものではないため、企業が賃金制度を見直す機会は限られていると考えられます。
その背景を踏まえると、令和4年調査で「過去3年間に賃金制度を改定した企業が40.4%」という結果になったのも、自然な流れといえるでしょう。
賃金制度の改定は、企業の内部事情や外部環境の変化に左右されるため、全体としては慎重に進められる傾向があります

もう一度確認!
賃金制度を改定した企業割合は「40.4%」です。主に「仕事給」部分の拡大が多く見られます。

4. 賞与制度

  • 結果
    ・賞与制度を導入している企業割合:87.9%
    ・賞与を支給した企業割合:92.8%
    ・賞与を支給しなかった企業割合:6.5%
さくらもち

賞与は「臨時の賃金」とされており、就業規則上は相対的必要記載事項に位置づけられます。
つまり、必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」ではありませんが、制度として設けている場合は記載が求められる項目です。

さくらもち

令和4年の調査結果を見ると、企業の約88%が賞与制度を導入しており、実際に賞与を支給した企業は約93%にのぼります。
このことから、制度上は任意であっても、実務ではほぼすべての企業が賞与制度を設け、運用していることが分かります

もう一度確認!
賞与制度がある企業は87.9%、そのうち賞与を支給した企業は「92.8%」です。

5. 賞与の算定方法

結果
賞与制度がある企業のうち、算定方法が明確な企業割合は約「85%」でした。その中で、考課査定による算定が最も多い結果となりました。

さくらもち

厚生労働省が示す「賞与」の定義は、「定期または臨時に、労働者の勤務成績や企業の経営状態などに応じて支給され、その額があらかじめ確定されていないもの」とされています。
このように、賞与は業績や評価に連動する“変動的な賃金”として位置づけられています。
企業が適正な考課査定に基づいて賞与を支給することで、従業員のモチベーション向上につながり、結果として組織全体の成長にも寄与する可能性があります。

データまとめ

  • 基本給決定要素:職務・職種が最も多い
  • 賃金制度改定:40.4%の企業が過去3年で実施
  • 賞与制度:87.9%の企業が導入、92.8%が賞与支給
  • 賞与算定方法:考課査定による算定方法が最も多く採用されており、現時点では最多の方式

さくらもちの総括

令和4年の「就労条件総合調査」は、社労士試験に役立つだけでなく、企業の賃金制度や従業員の待遇に関する貴重な情報を提供しています。特に基本給の決定要素賞与制度に関するデータは、試験や実務に活用可能です。

引き続き、試験に役立つ情報をお届けしていきますので、ぜひチェックしてくださいね!

  1. 「就労条件総合調査」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/22/dl/gaikyou.pdf)を加工して作成 ↩︎
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