【令和6年版】労働力調査の概要と結果解説(雇用・就業・失業の実態)

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【令和6年版】労働力調査の概要と結果解説(雇用・就業・失業の実態)

労働力調査とは?

令和7年1月31日に公表した労働力調査1は、総務省が日本の就業状況や不就業状況を明らかにするために実施する基幹統計調査です。この調査は約4万世帯を対象とし、統計法で規定された重要な調査の一つです。
社労士試験対策や一般常識にも役立つこの調査のポイントを整理しました。

労働力調査の概要と日本の人口データ

日本の総人口

  • 令和6年10月1日時点の総人口約1億2500万人
    ・15歳未満:約1500万人(労働力調査の対象外)
    ・15歳以上の人口:約1億1000万人
さくらもち

労働力調査の対象人口を正しく理解することは、統計問題の基礎です。 まず、令和6年10月1日時点の総人口は「約1億2500万人」。この数字は頻出なので、確実に覚えておきましょう。
次に、労働力調査では「15歳以上の人口」が対象になります。 0歳〜14歳までの人口は、各年齢でおおよそ100万人と見積もると、合計で約1500万人。 この層は調査対象外となるため、 労働力調査の対象人口は「1億2500万人 − 1500万人」で、約1億1000万人となります。

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この前提がわかっていれば、労働力率や就業率の計算式もスムーズに理解できます。 数字だけでなく、「なぜその人数になるのか」という背景を押さえておくと、試験本番でも落ち着いて対応できますよ。

労働力調査における各区分と名称

労働力調査における各区分の名称です。

用語定義
労働力率15歳以上人口に占める労働力人口の割合
就業率15歳以上人口に占める就業者の割合
労働力人口就業者+完全失業者
完全失業率労働力人口に占める完全失業者の割合
非労働力人口就業者・完全失業者以外の15歳以上人口
就業者従業者+休業者
完全失業者仕事がなく、就業可能で、調査期間中に職探しや事業準備を行った者
従業者調査期間中に収入の伴う仕事を1時間以上行った者
休業者仕事を持ちながら調査期間中に働かなかった者のうち一定条件を満たす者
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各区分の名称と意味をリンクさせて理解しましょう。「労働力人口=就業者+完全失業者」などの基本構造が試験に役立ちます。

労働力調査結果のポイント【令和6年】

1. 労働力人口と労働力率

  • 労働力人口:6957万人
  • 労働力率:63.3%
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労働力人口は、「就業者」と「完全失業者」の合計です。 労働力率は、15歳以上人口に対する労働力人口の割合を示します。
この2つは統計問題の基本なので、定義と関係性をセットで覚えておくと安心です。

2. 就業者数と就業率

  • 就業者数:6781万人
  • 就業率:61.7%
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就業者は、「従業者」と「休業者」を合わせた構成です。
就業率は、15歳以上人口に対する就業者の割合を示す指標です。 労働市場の実態を把握するうえで、基本となる定義なので、正確に理解しておきましょう。

3. 雇用者とその内訳

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雇用者とは、会社・団体・官公庁・自営業主・個人家庭などに雇われて、給料や賃金を得ている人のことです。 また、会社や団体の役員も雇用者に含まれます。
令和6年の労働力調査では、就業者の約9割が雇用者として分類されています。

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自営業主は、個人で事業を営み、収入を得ている人のことです。 家族従業者は、その自営業主の家族で、報酬を受け取らずに事業に従事している人を指します。
令和6年の労働力調査では、就業者の約1割が自営業主または家族従業者として分類されています。
この区分は、雇用者との違いや労働形態の多様性を理解するうえで重要です。

  • 雇用者数(役員を含む):6123万人(就業者の90.3%)
  • 自営業主・家族従業者:624万人(就業者の約10%)
  • 正規雇用3654万人(全雇用者の約6割)
  • 非正規雇用2126万人(全雇用者の約4割)
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労働力調査では、会社や団体の役員を除いた雇用者について、勤め先での呼称をもとに「正規の職員・従業員」と「非正規の職員・従業員」に区分しています。 この区分は、雇用契約の内容や働き方の違いを反映したものです。
令和6年の調査結果では、役員を除く職員・従業員のうち、約6割が正規雇用、約4割が非正規雇用となっています。
雇用形態の割合は、企業の人材戦略や労働市場の動向を読み取るうえで重要な指標です。

4. 役員を除く雇用契約期間別内訳

  • 無期契約:3820万人(全雇用者の約6割)
  • 有期契約:1438万人(全雇用者の約3割)
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労働力調査では、一般常用雇用者のうち、契約期間の定めがないもの(定年までの雇用を含む)を「無期の契約」としています。
一方で、「有期の契約」は、1年超の契約期間がある者と定義されています。
令和6年の調査結果では、役員を除いた職員・従業員のうち、約6割が無期契約、約3割が有期契約となっています。

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雇用契約の形態は、働き方や雇用の安定性に直結するため、定義と割合を正確に押さえておくことが重要です。

5. 産業別就業者数の変化

  • 最も増加した産業:情報通信業
  • 最も減少した産業:製造業、農業・林業
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新型コロナの感染拡大を契機に、企業では業務の効率化や競争力の強化を目的として、DX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進みました。
その影響もあり、令和6年の労働力調査では情報通信業が最も就業者数を増加させた産業として示されています。

6. 休業者数

  • 休業者:195万人
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労働力調査における「休業者」は、仕事を持っているにもかかわらず、調査週間中に実際の労働を行わなかった人のうち、一定の条件を満たす場合に該当します。
具体的には、
① 雇用者で、給料・賃金(休業手当を含む)の支払いを受けている、または受ける予定である人
② 自営業主で、事業を継続して所有しており、休業開始から30日未満の人
このような人たちは「休業者」として分類されます。
また、育児休業給付金などを受給している場合も、休業者に含まれます。

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試験では「就業者=従業者+休業者」という構成が問われることがあるので、休業者の定義はしっかり整理しておきましょう。

7. 完全失業者数と完全失業率

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労働力調査における「完全失業者」は、次の3つの条件をすべて満たす人と定義されています。
① 調査週間中にまったく仕事をしていない(=就業者ではない)
② 仕事があればすぐに就ける状態である
③ 調査週間中に求職活動や事業開始の準備をしていた(過去の応募結果待ちも含む)
この定義は、単に「働いていない人」ではなく、働く意思と能力があり、実際に行動している人を対象としている点が重要です。

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また、「完全失業率」は、労働力人口に占める完全失業者の割合を示す指標です。

  • 完全失業者数:176万人
  • 完全失業率:2.5%
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令和2年は、新型コロナの感染拡大により経済活動が大きく停滞し、「非自発的理由」による完全失業者が急増しました。 特に、企業の倒産や人員整理など、事業の都合による離職が目立ちました。
一方、令和4年以降は感染防止策の定着や経済支援の影響もあり、こうした事業都合による完全失業者数は減少傾向にあります。

8.非労働力人口

  • 非労働力人口:4031万人
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非労働力人口とは、15歳以上の人口のうち、「就業者」と「完全失業者」に該当しない人を指します。 具体的には、家事、通学、高齢による引退などで、働く意思も能力も持たないとされる人たちが含まれます。

9. 若年無業者数(令和6年の若年無業者数は未公表のため、参考として令和5年のデータを掲載)

令和6年の労働力調査では、若年無業者の具体的な調査結果が公表されていませんでしたので、令和5年の調査結果を載せます。

  • 若年無業者(15~34歳):59万人
  • 35~44歳の無業者:37万人
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若年無業者とは、15~34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない人を指します。 同様に、35~44歳の無業者は、家事・通学のいずれにも該当しない35~44歳の非労働力人口です。
いずれも「働いておらず、学んでもいない」層として統計上区分されており、労働市場への潜在的な参加者として注目されています。

各調査項目の増減結果を押さえよう

各調査項目の増減結果一覧です。
各調査項目の増減は、社会背景や国の政策の方向性を意識して押さえましょう。

指標増減傾向
労働力人口・労働力率増加(雇用確保政策の成果)
完全失業者数・率減少(感染防止策の影響)
休業者数増加(育児・介護休業の影響)
非労働力人口減少(労働市場への参加率向上)
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国による雇用確保の取り組みの影響で、労働力人口・労働力率・就業者数・就業率はいずれも上昇傾向にあります。 それに伴い、非労働力人口は減少しています。労働市場への参加が広がっていることがうかがえますね。

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また、令和4年には感染防止策が講じられたことなどを背景に、完全失業者数は減少しました。 ただし、完全失業率は前年と同じ水準で推移しています。

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令和6年の労働力調査では、育児・介護休業の取得者の増加などを背景に、休業者数は前年より増加しています。
一方で、宿泊業や飲食サービス業では感染状況の改善により休業者が減少した業種も見られますが、全体としては増加傾向です。
雇用制度の活用や働き方の多様化が、統計に反映されていると考えられます。

FAQ

Q1. 労働力調査とは何ですか?
A. 総務省が実施する基幹統計調査で、日本の就業・不就業状況を把握するために行われます。

Q2. 労働力調査の対象人口は?
A. 15歳以上の人口が対象で、令和6年10月1日時点では約1億1000万人です。

Q3. 「労働力人口」とは?
A. 就業者と完全失業者を合わせた人数です。令和6年は6957万人でした。

Q4. 「完全失業者」の定義は?
A. 仕事がなく、すぐに働ける状態で、調査期間中に求職活動をしていた人です。

Q5. 雇用者と自営業主の違いは?
A. 雇用者は給料を得て働く人、自営業主は自ら事業を営む人です。

Q6. 正規雇用と非正規雇用の割合は?
A. 約6割が正規雇用、約4割が非正規雇用です(役員除く)。

Q7. 有期契約と無期契約の違いは?
A. 無期契約は契約期間の定めがない雇用、有期契約は1年以上の契約期間がある雇用です。

Q8. 令和6年に最も増加した産業は?
A. 情報通信業が最も就業者数を増加させました。

Q9. 若年無業者とは?
A. 家事も通学もしていない15〜34歳の非労働力人口を指します。

  1. 「労働力調査」(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/gaiyou.pdf)を加工して作成 ↩︎
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