調査の概要と目的

令和6年に実施された雇用均等基本調査は、厚生労働省が男女の雇用均等に関する雇用管理の実態を把握するために行う一般統計調査です。
対象は、常用労働者5人以上を雇用する民間企業のうち、約6,300社が無作為抽出され、有効回答率は53.7%でした。
さくらもちこの調査は、社労士試験でも頻出の「雇用管理」や「統計資料」に関する理解を深めるうえで、とても重要な資料です。
育児目的の休暇制度の整備状況
制度の規定率と業種別傾向


育児目的の休暇制度を規定している事業所の割合は 71.2%。
業種別では「金融業・保険業」が最も高く、次いで「電気・ガス・熱供給・水道業」「複合サービス業」が続きます。



育児・介護休業法では制度整備が義務ですが、実際には“制度なし”と回答する企業もあります。これは対象者不在や就業規則未整備が背景にあることが多いです。
制度の内容と運用実態
取得可能期間と賃金の取扱い


- 子が何歳まで取得可能か:「1歳超〜3歳未満」が最多
- 賃金の取扱い:「無給」が最多



「育児目的の休暇」には法定制度と企業独自の任意制度が混在しています。社労士試験では、制度の種類と法的根拠を整理しておくと安心です。
制度の定義と設問設計上の注意点
育児関連休暇制度には以下のような制度が含まれます:
- 法定制度:育児休業、子の看護休暇、短時間勤務(育児・介護休業法)
- 母性関連措置:通院休暇、休憩時間の配慮(男女雇用機会均等法)
- 企業独自の任意制度:入園式・予防接種などを対象とした特別休暇
ただし、調査票上では制度名や法的根拠が明示されておらず、企業ごとの解釈に差が出やすい設計となっています。また、設問の焦点は「制度の整備状況」ではなく「利用状況」にあるため、制度が存在していても取得実績がない場合や、制度の周知度・運用方法によって回答が左右される可能性があります。



制度の種類や定義が曖昧なまま設問が構成されていると、統計の精度に影響します。社労士試験では、制度の「設計」と「運用」の違いを理解しておくと安心です。
育児関連休暇制度の利用状況
女性労働者の利用状況


- 利用者がいた事業所の割合:63.8%
- 利用した女性労働者の割合:45.6%
男性労働者の利用状況


- 利用者がいた事業所の割合:44.4%
- 利用した男性労働者の割合:29.6%



女性の利用率が高い一方で、男性の取得率はまだ低め。社労士試験では「男女雇用機会均等法」や「育児・介護休業法」の趣旨を踏まえた出題がされることもあります。
社労士試験対策としての活用ポイント
- ✅ 育児・介護休業法の制度整備義務と実態のギャップを理解する
- ✅ 法定制度と任意制度の違いを明確に整理する
- ✅ 統計データから読み取れる業種別・性別の傾向を数字で押さえる
- ✅ 設問の焦点(整備状況 vs 利用状況)を読み取る力を養う



この調査は、社労士試験の“統計問題”だけでなく、“法令理解”にもつながる重要資料です。数字だけでなく、制度の背景や企業の実務対応まで読み取れると、得点力がぐっと上がりますよ。
FAQ
Q1. 育児目的の休暇制度とは何ですか?
A. 育児目的の休暇制度とは、育児のために労働者が取得できる休暇制度で、育児休業、看護休暇、企業独自の特別休暇などが含まれます。
Q2. 令和6年の調査で制度を整備している企業の割合は?
A. 調査によると、育児目的の休暇制度を規定している事業所は全体の71.2%でした。
Q3. 男性の育児休暇取得率はどのくらいですか?
A. 男性労働者のうち、育児目的の休暇制度を利用した割合は29.6%です。
Q4. 社労士試験ではこの調査結果をどう活用できますか?
A. 統計問題や育児・介護休業法の理解に役立ちます。特に制度整備率や男女別の利用状況は選択式・択一式で問われる可能性があります。
