調査概要

令和5年の就労条件総合調査1は、厚生労働省が民間企業の労働条件の実態を把握するために実施した統計調査です。 対象は、常用労働者30人以上を雇用する民間企業約6,400社で、有効回答率は58.7%でした。
調査対象:退職給付制度の支給実態
本調査では、以下の3点が主な分析対象です:
- 勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の有無
- 退職事由別の退職者割合
- 退職給付制度の形態別支給額(定年退職者)
退職給付制度は労働基準法上の義務ではありませんが、就業規則に定めることで制度化されます。
退職者の状況

退職給付制度がある企業のうち、令和4年に「勤続20年以上かつ45歳以上」の退職者がいた企業の割合は29.2%です。
さくらもちこの割合は企業規模によって差があり、大企業では毎年退職者がいる一方、中小企業では該当者がいない年もあります。
退職事由別の退職者割合


退職給付制度がある企業のうち、該当退職者の退職理由は以下の通りです:
| 退職事由 | 割合 |
|---|---|
| 定年退職 | 56.5% |
| 自己都合 | 31.7% |
| 会社都合 | 6.1% |
| 早期優遇 | 5.7% |



定年退職が最も多く、次いで自己都合退職が続きます。
早期優遇制度を利用した退職は少数ですが、支給額が高い傾向があります。
学歴別の支給額(退職事由別)



退職給付額は退職事由によって異なり、どの学歴においても早期優遇退職が最も高額です。 これは、企業が人員整理や早期退職促進のために割増退職金を設定するケースがあるためです。
退職給付制度の形態別支給額(定年退職者)


退職給付制度の形態別に、定年退職者への支給額は以下の通りです(大学・大学院卒の場合):
| 制度形態 | 支給額(万円) |
|---|---|
| 一時金制度のみ | 1,623万円 |
| 年金制度のみ | 1,801万円 |
| 両制度併用 | 2,261万円 |



両制度併用が最も高額であり、企業によっては一時金と年金を組み合わせて支給することで、退職後の生活保障を強化しています。
制度の背景と補足



退職給付制度は労働基準法上の義務ではありませんが、就業規則に定めることで制度化されます。
企業規模や業種によって制度の有無や支給額に差があり、特に早期優遇制度の活用は支給額に大きく影響します。
FAQ:令和5年 就労条件総合調査|退職給付制度
Q1. この調査は何を目的としていますか?
A. 厚生労働省が民間企業の労働条件を把握するために実施した統計調査です。令和5年は約6,400社が対象で、有効回答率は58.7%でした。
Q2. 調査対象となった退職者はどのような条件ですか?
A. 勤続20年以上かつ45歳以上の退職者が対象です。該当者がいた企業の割合は29.2%でした。
Q3. 退職事由の内訳はどうなっていますか?
A. 定年退職が56.5%と最多で、次いで自己都合(31.7%)、会社都合(6.1%)、早期優遇(5.7%)の順です。
Q4. 退職事由によって支給額に差はありますか?
A. はい。どの学歴でも早期優遇退職が最も高額です。企業が割増退職金を設定するケースがあるためです。
Q5. 定年退職者への支給額は制度形態によって違いますか?
A. 大学・大学院卒の場合、以下のような違いがあります:
・一時金制度のみ:1,623万円
・年金制度のみ:1,801万円
・両制度併用:2,261万円
Q6. 退職給付制度は法律で義務付けられていますか?
A. いいえ。労働基準法上の義務ではありませんが、就業規則に定めることで制度化されます。
- 「就労条件総合調査」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/dl/gaikyou.pdf)を加工して作成 ↩︎
