令和5年 雇用均等基本調査|育児休業制度と子育て支援の実態

目次

はじめに

令和5年の雇用均等基本調査では、育児休業制度の運用状況や、子を養育しながら働く労働者への支援措置について、事業所を対象に調査が行われました。
本記事では、調査の概要と主要な結果を整理します。。

調査概要

  • 調査名:令和5年 雇用均等基本調査(一般統計調査)
  • 実施機関:厚生労働省
  • 調査対象:常用労働者5人以上の民営企業 約6,300社(産業・企業規模別に層化無作為抽出)
  • 有効回答率:55.5%
  • 目的:男女雇用均等に関する雇用管理の実態把握と行政施策の基礎資料収集

育児休業終了後の復職状況

  • 女性:復職予定者のうち、実際に復職した割合は 93.2%
  • 男性:復職予定者のうち、実際に復職した割合は 97.3%
さくらもち

育児休業終了後の復職率は、女性93.2%、男性97.3%と高水準です。
この数値は、制度の定着状況や職場復帰支援の実効性を示す重要な指標とされています。

育児休業の取得期間

女性の場合

  • 最も多かったのは「12か月~18か月未満
  • 次点:10か月~12か月未満、8か月~10か月未満

男性の場合

  • 最も多かったのは「1か月~3か月未満
  • 次点:5日~2週間未満、2週間~1か月未満
さくらもち

令和5年雇用均等基本調査によれば、育児休業終了後に復職した割合は、女性93.2%、男性97.3%と、いずれも高い水準となっています。
この統計は、育児・介護休業法に基づき、育児休業制度の運用状況を把握するために実施されたものであり、事業主による制度整備や職場復帰支援の実態が反映された結果といえます。

さくらもち

なお、この復職率は「育児休業を取得し、復職予定だった者」を対象としており、制度利用者が実際に職場へ戻れているかを示す指標として重要です。
特に女性は、1年以上の長期休業が多い中で9割以上が復職しており、職場の支援体制や制度の定着度がうかがえます。

さくらもち

一方、男性の復職率が女性を上回っている背景には、取得期間の短さや職場文化の影響があると考えられます。
この結果からは、育児休業がキャリアに与える影響や、性別による復職・退職の傾向といった制度上の課題も見えてきます。

男性の育児休業・育児目的休暇の取得率の公表状況

  • 公表している事業所の割合:20.2%
  • 公表内容の内訳:
    育児休業のみ:最多
    ・育児休業+育児目的休暇:次点
さくらもち

令和5年雇用均等基本調査によると、男性の育児休業・育児目的休暇の取得率を公表している事業所は全体の20.2%でした。
これは、約5社に1社が何らかの形で取得率を外部に示していることを意味します。

さくらもち

この公表は法的義務ではなく、育児・介護休業法や次世代育成支援対策推進法などの制度的枠組みの中で、企業の自主的な取り組みとして位置づけられています。
特に、男性の育児休業取得率は、企業の育児支援体制の姿勢を示す指標として注目されています。

さくらもち

なお、統計上の「公表あり」には以下の2パターンが含まれます:
・育児休業のみを対象としている事業所
・育児休業と育児目的休暇の両方を対象としている事業所
※制度が両方整備されていなくても、いずれかの取得率を公表していればカウントされます。

さくらもち

中小企業では、制度整備や情報開示に対するリソース不足が背景にあり、取得率の公表が企業文化として定着するには、さらなる支援と啓発が必要とされています。

育児のための短時間勤務制度と賃金の取扱い

  • 導入事業所における賃金の扱い
    無給:最多
    ・一部有給:次点
    ・有給:少数
さくらもち

短時間勤務制度は、育児・介護休業法により事業主に導入が義務付けられています。
ただし、短縮された時間分の賃金の支払い方法については法令上の定めがなく、企業の裁量に委ねられています。

さくらもち

令和5年雇用均等基本調査によると、短時間勤務制度を導入している事業所のうち、約8割が短縮時間分を「無給」としているのが実態です。
これは、制度の運用において企業間の対応に差があることを示しています。

FAQ

Q1. 育児休業終了後の復職率はどのくらいですか?
A. 女性は93.2%、男性は97.3%と高い水準です。

Q2. 育児休業の取得期間に性別差はありますか?
A. 女性は1年以上の長期取得が多く、男性は1か月未満の短期取得が中心です。

Q3. 男性の育児休業取得率を公表している企業はどのくらいありますか?
A. 全体の20.2%の事業所が取得率を公表しています。

Q4. 短時間勤務制度の賃金は支払われますか?
A. 約8割の事業所では短縮時間分は「無給」とされています。

まとめ

令和5年調査では、育児休業制度の利用実態や復職率、支援制度の導入状況が明らかになりました。
社労士試験でも頻出の分野であり、制度の趣旨と実務のギャップを理解することが重要です。

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