令和3年 パート・有期雇用労働者調査|就業理由と待遇意識の実態

目次

はじめに

令和3年の「パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査(個人調査)」では、現在の就業形態を選んだ理由や賃金水準の意識、今後の働き方の希望などが明らかにされました。
本記事では、調査結果をもとに、働き方の背景や制度的な影響を冷静に読み解いていきます。

調査の概要

  • 実施主体:厚生労働省
  • 調査対象:29,416事業所に就業するパートタイム・有期雇用労働者(22,974名)
  • 有効回答率:57.1%
  • 調査種別:一般統計調査

就業理由の傾向と層別の特徴

有期雇用フルタイム男性と女性・パートタイム層

  • 有期雇用フルタイム男性の最多理由:「定年退職後に再雇用されたから」
  • 女性・パートタイム層の最多理由:「自分の都合の良い時間・日に働きたいから」
さくらもち

有期雇用フルタイムの男性において、「定年退職後に再雇用されたから」という理由が最多となっているのは、制度設計と本人の希望が一致していることが背景にあります。
一方、その他の層では「生活との両立」を重視する傾向が強く、「自分の都合の良い時間・日に働きたいから」という柔軟性を重視した理由が最も多く選ばれています。
これらの傾向は、働き方に対する制度的な枠組みと、個人のライフステージが統計結果に反映されていることを示す一例といえるでしょう。

賃金水準と待遇差への意識

  • 比較対象:業務内容・責任の程度が同じ正社員
  • 最多回答:「賃金水準は低く、納得していない」
  • 事業所が見直した待遇内容の最多項目:基本給
さくらもち

待遇改善の動きはあるものの、納得感の醸成には至っていない現状がうかがえます。

待遇差の説明請求と法的背景

  • 説明を求めた労働者:15.1%
  • そのうち「説明があり納得した」割合:79.7%
  • 法的背景:令和2年4月以降、事業主には説明義務が課されている
さくらもち

パートタイム・有期雇用労働法では、事業主に対し、パートタイムまたは有期雇用労働者から通常の労働者との待遇差について内容や理由の説明を求められた場合、これに応じる義務が課されています。
また、説明を求めたことを理由として、労働者に不利益な取扱いを行うことは、法律上明確に禁止されています。
このように、制度上は説明請求の権利が確立されていますが、実際に説明を求めた労働者の割合は15.1%にとどまっており、制度の認知度や心理的なハードルが影響している可能性が考えられます。

今後の働き方に関する希望

  • 最多回答:「現在の会社で、今の雇用形態で働き続けたい」
さくらもち

「今の会社で、今の雇用形態で働き続けたい」とする回答が最も多かった背景には、現在の働き方が生活スタイルに適しており、制度面でも一定の安定が確保されていることが挙げられます。 加えて、職場環境への満足感や、雇用形態の変更に伴う不安も影響しており、現状維持の希望は単なる妥協ではなく、本人の納得に基づく選択であるケースが多いと考えられます。

まとめ

本調査では、パートタイム・有期雇用労働者の働き方に対する意識や制度との関係性が浮き彫りになりました。

FAQ

Q1. 令和3年のパート・有期雇用労働者調査では、最も多かった就業理由は何ですか?
A. 有期雇用フルタイムの男性では「定年退職後の再雇用」、その他の層では「都合の良い時間に働きたい」が最多でした。

Q2. 待遇差の説明を求めた労働者の割合はどれくらいですか?
A. 令和2年4月以降、説明を求めた労働者は15.1%で、そのうち79.7%が説明に納得したと回答しています。

Q3. パートタイム・有期雇用労働法では、待遇差の説明義務はありますか?
A. はい。事業主は、待遇差の内容や理由について説明を求められた場合、応じる義務があります。不利益な取扱いも禁止されています。

Q4. 今後の働き方に関する希望で最も多かった回答は何ですか?
A. 「今の会社で、今の雇用形態で働き続けたい」という回答が最も多く、制度的安定や職場環境への満足が背景にあります。

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