令和3年 パート・有期雇用労働者調査|企業の雇用状況と制度対応

目次

はじめに

令和3年に実施された「パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査(事業所調査)」では、企業における非正規雇用者の雇用状況や待遇見直しの実態が明らかになりました。
本記事では、調査結果をもとに、雇用形態の傾向や制度的背景を整理します。

調査の概要

  • 実施主体:厚生労働省
  • 調査種別:一般統計調査
  • 対象事業所:常用労働者5人以上を雇用する29,416事業所
  • 有効回答率:51.9%

企業における雇用状況の傾向

雇用している企業の割合

  • パートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業は全体の75.4%
  • 雇用形態別では「無期雇用パートタイム」が最多
さくらもち

企業規模が大きい事業所では、雇用形態を問わず、パートタイム・有期雇用労働者を含めた雇用の割合が高い傾向にあります
一方で、企業規模が小さい事業所では、これらの労働者を雇用している割合が比較的低く抑えられています。
本調査は企業規模の大小を問わず幅広く対象としているため、全体平均としては、パートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業の割合は75.4%となっています。

待遇差の見直し項目と割合(法施行後の対応)

見直しを行った企業の割合

  • 「待遇差を見直した」企業:28.5%
  • 「待遇差はない」とする企業:28.2%
  • 両者を合わせると約6割が法施行に対応済み
さくらもち

パートタイム・有期雇用労働法の第8条では、通常の労働者と比較して不合理な待遇差を設けることを禁止しています。
また、厚生労働省が令和5年6月に公表した「パートタイム・有期雇用労働法の概要」によると、第8条は私法上の効力を持つ規定であり、これに違反する待遇差は無効とされ、損害賠償が認められる可能性があると解釈されています。
企業にとっては、制度的なリスクを回避するためにも、待遇差の見直しが求められる状況といえるでしょう。
このような法的位置づけを踏まえ、企業側にとっては待遇差の見直しを行う契機となっており、調査結果では「待遇差はない」または「見直しを行った」と回答した企業が半数を超えています。

見直し内容の傾向

  • 最も多かった見直し項目:基本給
  • 次いで、有給休暇制度の整備

まとめ

本調査からは、企業規模による雇用形態の違いや、法施行後の待遇見直しの実態が明らかになりました。
社労士試験対策としても、制度の背景と企業対応の傾向を把握するうえで重要な統計といえるでしょう。

FAQ

Q1. パートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業の割合はどれくらいですか?
A. 調査によると、パートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業は全体の75.4%にのぼります。企業規模が大きいほど雇用割合が高い傾向があります。

Q2. パートタイム・有期雇用労働法の施行後、企業の待遇差見直しは進んでいますか?
A. はい。「待遇差を見直した」企業は28.5%、「待遇差はない」とする企業は28.2%で、両者を合わせると約6割が法施行に対応しています。

Q3. 見直された待遇内容で最も多かった項目は何ですか?
A. 基本給が最も多く、次いで有給休暇制度の整備が挙げられています。

Q4. 法第8条の違反にはどのような法的効果がありますか?
A. 厚生労働省の解釈によれば、違反部分は無効となり、損害賠償が認められる可能性があります。企業にとっては待遇差の見直しを促す契機となります。

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