調査概要

令和4年に厚生労働省が実施した「雇用均等基本調査」は、男女の雇用管理の実態を把握し、雇用均等行政の方向性を検討するための一般統計調査です。
対象は、常用労働者5人以上を雇用する民間企業のうち、産業・企業規模別に層化して無作為抽出された約6,300社で、有効回答率は53.0%でした。
母性健康管理制度に関する調査項目
妊産婦の通院休暇

制度の背景
妊産婦が保健指導や健康診査を受けるための時間を確保する制度で、男女雇用機会均等法第13条に基づき、医師の指導がある場合に限り企業に認める義務があります。
調査結果
- 通院休暇の規定がある事業所:57.0%
- 通院休暇を有給とする事業所:38.2%
└そのうち、全期間100%支給の事業所:60.7%
さくらもち法律で義務づけられている制度でも、統計上“100%”にならないことはよくあります。
その背景には、制度の誤認識、就業規則などへの文書化の不足、そして調査回答の限界などがあるんですね。
たとえば“制度がある”ことと“規定されている”ことは別の話です。
企業が制度を運用していても、文書で明記していなければ統計上は“なし”と扱われることもあります。
このように、実態と統計の間にはズレが生じることがあるんです。



法律で義務があるのは“通院休暇を認めること”であって“有給にすること”ではありません。
それでも38.2%の企業が有給で対応しているのは、母性保護や人材定着、制度運用の簡素化など、企業の自主的な判断によるものと考えられます。
妊娠中の通勤緩和措置


制度の背景
妊娠中の通勤緩和措置も、医師の指導があれば企業に実施義務があります。
これは母性健康管理措置の一つで、勤務時間の短縮や時差通勤など、個別の配慮が求められます。
調査結果
- 通勤緩和措置の規定がある事業所:47.9%
- 内容の内訳:勤務時間の短縮が最多、次いで時差通勤



この調査では“制度があるか”ではなく“企業が就業規則等に明文化しているか”を確認しています。
制度の法的義務と、企業の運用実態は別の視点で見る必要があります。



制度の存在だけでなく、実際に社内でどう位置づけられているかを見ることで、企業の対応状況や意識の違いが見えてきますね。
妊娠中の休憩措置


制度の背景
妊婦が通常の休憩時間とは別に休養や捕食を取るための措置で、医師の指導があれば企業に実施義務があります。
調査結果
- 休憩措置の規定がある事業所:49.0%



この制度は、男女雇用機会均等法第13条に基づく“母性健康管理措置”のひとつです。
医師の指導があった場合、企業にはその内容に応じて柔軟に対応する義務があります。



つまり“一律の対応”ではなく“医師の指導内容に合わせた個別の配慮”が求められる制度なんですね。
社労士試験でも“母性健康管理措置”は法的義務と実務対応の両面から問われることがあるので、背景まで押さえておくと安心です。
妊娠中・出産後の症状等に対応する措置


制度の背景
妊娠中または出産後の症状に応じた勤務配慮も、医師の指導があれば企業に実施義務があります。
調査結果
- 対応措置の規定がある事業所:53.1%



母性健康管理措置は、企業の制度整備だけでなく、医師との連携や従業員への周知も重要です。
制度と統計のズレについて



制度が“ある”ことと“規定されている”ことは別です。
企業が制度を運用していても、文書で明記していなければ統計上は“なし”と扱われることもあります。
このように、実態と統計の間にはズレが生じることがあるんですね。
FAQ
Q1. 妊産婦の通院休暇を規定している企業の割合は?
A. 調査によると、妊産婦の通院休暇を就業規則等で規定している企業は57.0%でした。
Q2. 通院休暇を有給とする企業の割合は?
A. 通院休暇を有給とする企業は38.2%で、そのうち60.7%が全期間100%支給と回答しています。
Q3. 妊娠中の通勤緩和措置を規定している企業の割合は?
A. 妊娠中の通勤緩和措置に関する規定がある企業は47.9%でした。
Q4. 妊娠中の休憩措置を規定している企業の割合は?
A. 通常の休憩とは別に妊婦のための休憩措置を規定している企業は49.0%でした。
Q5. 妊娠中または出産後の症状に対応する措置を規定している企業の割合は?
A. 妊娠中または出産後の症状等に対応する措置を規定している企業は53.1%でした。
